様々な振り返り手法
💡 KPT法
KPT法は、仕事やプロジェクトを振り返る際に役立つフレームワークです。この方法は、Keep(継続)、Problem(問題)、そして Try(挑戦) の3つの観点から行動や結果を整理し、改善策を見つけるために用いられます。KPTは「ケーピーティー」または「ケプト」と呼ばれることが多いです。
Keep(継続)
良かった点や継続すべき取り組みを洗い出します。具体的な数字や要因を含めると効果的です。
Problem(問題)
現状の問題や今後発生する可能性がある問題を洗い出します。
Try(挑戦)
Keepをさらに向上させるための取り組みやProblemを改善する方法を検討し、アイデアを書き出します。
KPT法のメリット
- 良い習慣をみんなで再認識する機会となり、そのフェードアウトを防げる。
- 問題と改善方法の可視化:次の行動を明確にするため、KeepとProblemを共有します。
KPT法の具体例
Keep
- コードレビューを必須にしたので、dev環境でのデグレが今週はなかった。
Problem
- 残業時間が長い人と短い人の差が大きく、トータルで最大差8時間/週あった。
Try
- モブプロを導入する。次のスプリントから試験的に何度か時間を設けます。
💡 GPT法
この手法は筆者の大学院でのグループによる発案で、KPTをmodifyした手法となります。
GPTには3つの要素と2つの主語があります。
- G: Good(個人/チーム)
- P: Problem(個人/チーム)
- T: Try(個人/チーム)
この手法では個人とチームの二つの視点に着目し、それぞれに対して振り返ります。
Goodはそのスプリント内で良かったことを記述します。プライベートなことや個人的なことは個人欄に、チームで良かったことはチーム欄に記述します。チーム欄と個人欄に同じことを書いても良いです。
ProblemとTryはセットで書きます。振り返りの目的「プロセスを改善するためのアクションを特定する」を達成するためです。Problem/Try欄というのを用意し、そこに個人/チームの2つに分けて書くのが良いでしょう。
ここで、Problemは書きづらさを感じるかもしれません。
- 主語は人になっているが、振り返りの対象は人の人格ではなく、プロジェクト運用という概念を指していることに注意
- プロジェクトを前に進めるために、プロジェクトに対しての問題を書く
- 自分の仕事がProblemとして書かれてもそれは人格否定にはならないし、人格否定と捉えられる書き方になっていないか注意すること。
- 多少の問題の列挙によって「人格否定された!」と思う人が出てくるチームは、チーム全体がプロフェッショナルではないということです。書き手も受け手もプロフェッショナルである必要性を認識してください。
💡 象・死んだ魚・嘔吐
この手法は課題に焦点を当てた手法になります。特に、ふりかえりを通してチームが胸のうちに何を抱えていたのかを明らかにすることに重きをおいてください。
以下の3項目について振り返りを列挙してください:
🐘 象(部屋の中の象) | 誰もが認識しているが口に出さない問題 |
🐟 死んだ魚 | 放っておくと大変なことになる問題 |
🤮 嘔吐 | 胸の中に秘めている問題(ぶっちゃけ) |
この手法を行う上で注意する点は以下の通りです:
- チケットは重複して良く、3項目の境目や違いを過剰に意識せずに振り返りを記入する
- 「チームが抱えている問題・事実」という視点で各カードをみること
- 故意に人を傷つける言い回しはなるべく避けること(意見と人格は分けること)
この手法の良いところは、「ぶっちゃけ」な意見が噴出するところです。それらは単なる知識不足(共有不足)から成るものであったり、コミュニケーション不足が発覚するものであったりします。
💡 Fun Done Learn
Fun Done Learnは、活動や目標、学びを振り返るための手法です。このプラクティスはチームの成長を一番に考えます。
具体的な手順は以下の通りです:
- ボード上に「Fun/Done/Learn」の3つの円を重なり合うように描きます。
- 各メンバーは出来事や感想を付箋に書き出し、それぞれのエリアに貼ります。
- チーム全員でボードを眺めながら話し合い、気づきを共有します。
各エリアの意味は次の通りです:
- Fun (楽しかったこと): 楽しいこと、面白かったこと、興味深かったことを記入します。
- Done (達成できたこと): 終わったこと、意識的に行ったことを記入します。
- Learn (学んだこと): 学んだこと、気づいたこと、印象に残ったことを記入します。
話し合いの観点として、以下のような質問を考えてみることができます:
- どんな傾向があるか?
- それは何を意味しているか?
- どうしたら「Fun」をもっと増やせるか?
- 価値の高い「Done」はどれだったか?
- 何をしたら「Learn」につながるか?
「Fun Done Learn」は、楽しさに注目することでチームからポジティブな意識を引き出す特色があります。
ただし、特定の問題点を掘り下げたり、具体的な改善アクションにつなげるには別の手法を組み合わせる必要があるかもしれません