スクラムの基本ルール・ガイドライン

スクラムは、柔軟性と反復的な改善を促進するアジャイル開発フレームワークです。 その効果的な適用を支援するため、スクラムには一連のルールとガイドラインが存在します。


基本ルール

完成の定義(Definition of Done, DoD)

完成の定義とは、スクラムフレームワークにおいてはPBIの完成基準のことを言います。 完成の定義を満たしていないPBIはインクリメントに積むことはできません。

完成の定義の例(すべて満たして完成である):

  • コードレビューが完了している:他の開発者によるコードレビューが行われ、必要な人数からApproveされていること。
  • ユニットテストがパスしている:開発した機能に対するユニットテストを実施し、全てのテストが成功していること。テストケースのカバレッジは基準値以上であること(大抵の場合は80%~100%の間の数値で定める)。
  • 統合テストがパスしている:システムの他の部分と統合した際のテストを実施し、問題なく動作すること。
  • ドキュメントが更新されている:関連する技術文書やユーザードキュメントが最新の状態に更新されていること。

タイムボックス

スプリント中のイベントには時間制限を設けます。これをタイムボックスと言います。

イベントタイムボックス
デイリー15分
スプリントプランニングスプリントが1ヶ月の場合、最大8時間。
スプリントが1週間の場合、最大2時間。
スプリントレビュースプリントが1ヶ月の場合、最大4時間。
スプリントが1週間の場合、最大1時間。
スプリントレトロスペクティブスプリントが1ヶ月の場合、最大3時間。
スプリントが1週間の場合、最大45分。

タイムボックスはスクラムを実行するうえでとても重要です。スクラムチームはスプリントを一定期間に設定し、その中で開発を行うわけですから会議の時間を守らねば、肝心の作業時間が減ってしまいます。かといって、極限までミーティングを減らすこともアンチパターンとなります。塩梅が大事というわけです。

また、スプリント中の作業、特にペアプロなどでも設ける場合があります。これも上と同じ理屈です。


ガイドライン

透明性

作業の進捗、問題点、成果物はチーム内外の関係者に対して透明であるべきです。 透明性の高さにより、チームメイトは作業内容を詳細に把握でき、難解な作業でのコラボレーションの機会が増える可能性があります。

検査

検査とは、プロジェクトの進行状況や成果物の品質を定期的に評価することをいいます。検査の目的は、進捗を確認し、計画からの逸脱を早期に特定することです。 スクラムでは定期的に成果物が検査されることが求められます。この役割を担うのがスクラムの4つのイベントとなります。ただし検査が過度にならず、作業の進行を妨げないよう、注意してください。

適応

検査を通じて特定された問題や逸脱に対しては、迅速に適応することが求められます。プロセスや製品の改善、作業方法の変更、またはスプリントゴールの再定義など、要は"改善"のことを指しています。 継続的な改善活動によって、チームはより成長していき、成果物の品質・量は向上していくのです。